飲食店の人手不足を採用で解決する時代は終わりを迎えています
2026年4月、特定技能(外食業)の新規受入れが事実上停止。飲食店の人手不足対策として使えた外国人採用ルートが閉じつつあります。106万円の壁崩壊・最低賃金上昇との三重苦に、現場はどう備えるべきか整理しました。
目次
106万円の壁見直し × 特定技能制限で変わる飲食店経営
2026年、飲食店の人材戦略は大きな転換点を迎えています。
最低賃金の上昇、社会保険の適用拡大、そして特定技能(外食業)の新規受入れ制限。
これまで”なんとか回してきた”採用とシフトのバランスが、一気に崩れ始めています。
なぜ「106万円の壁」は機能しなくなったのか
これまでパート・アルバイトのシフト設計は、「年収106万円以内に収める」ことが前提でした。しかし、最低賃金の上昇によって、その前提が崩れています。
| 働き方 | 時給 | 年収(週20時間×52週) |
|---|---|---|
| 変わらない勤務 | 時給1,000円 | 約104万円 → ギリギリセーフ |
| 変わらない勤務 | 時給1,200円 | 約125万円 → 自動的に超過 |
「調整できる壁」だったものが、今は”勝手に超える壁”に変わっています。
2026年10月、ルールが完全に変わる
さらに大きいのが、2026年10月(予定)の制度変更です。これまでの「月収8.8万円(年収106万円)」という基準が見直され、社会保険の判断軸が大きく変わります。
| 従来の基準 | 2026年10月以降(予定) | |
|---|---|---|
| 社保加入の判断軸 | 年収106万円以上かどうか | 週20時間以上かどうか |
| 年収調整による回避 | 可能だった | 回避できなくなる |
年収が低くても週20時間以上働けば社会保険の対象に。年収での調整が意味をなさなくなります。
もう一つの衝撃:外国人採用ルートの制限
同時に、外食業では特定技能人材の新規受入れも大きく制限されました。2026年4月13日以降、在留資格認定証明書の交付が不交付となり、海外からの新規採用ルートは事実上閉じています。
- 海外から新しく人を採れない
- 国内でも採用ルートが限定される
- 今いる外国人スタッフは奪い合いになる
「足りなければ外国人採用で補う」という選択肢は、もはや前提にできません。
飲食店に起きている”3つの変化”
① 新しく人が入ってこない 採用市場への供給が減り、欠員補充が難しくなる
② 既存スタッフの奪い合い 待遇次第で他店へ流出しやすくなる
③ 時給の上昇圧力 日本人パートの採用コストも上がる
「三重苦」で採用モデルが崩れる
| 課題 | 内容 | 現場への影響 |
|---|---|---|
| 最低賃金の上昇 | 同じシフトでも人件費増 | 採用枠を絞らざるを得ない |
| 社会保険の拡大 | 週20時間以上で加入義務 | 1人あたり年間約17万円の追加コスト |
| 特定技能の制限 | 外国人採用ルートが閉鎖 | 補完手段がなくなる |
この3つはすべて、”人を増やしにくくする方向”に働きます。
では、どうするか
ここからは「対処」ではなく「設計」の話になります。
▶ 採用より”定着”を最優先にする
1人辞めるコストは、採用+教育で30〜50万円とも言われます。辞めない職場を作る方が、圧倒的に安い。
▶ 少人数で回る店に変える
メニュー削減、仕込み効率化、発注・在庫の仕組み化。「人がいなくても回る設計」に変えないと詰みます。
▶ 今いる外国人スタッフを守る
これからは”採る競争”ではなく”辞めさせない競争”になります。待遇・評価・コミュニケーションの見直しが急務です。
▶ シフト戦略を二択で決める
A:週20時間未満で回す コストは抑えられるが、必要な人数が多くなる
B:加入前提で長く使う コストは増えるが、少ない人数で安定運営できる
“なんとなく中間”が一番危険です。どちらかを明確に選んで設計する必要があります。
まとめ
2026年は、飲食店にとって明確な分岐点です。
- 年収で調整する時代は終わり
- 外国人採用で補う前提も崩壊
- 人件費は確実に上がる
だからこそ必要なのは、
「人を増やす」ではなく「少なくても回る仕組み」
「採用」ではなく「定着」へのシフト
厳しい状況ですが、ここで設計を変えた店だけが、次のステージに進めます。


