原材料費高騰時代の正攻法:飲食店が取り組むべき3つのアプローチ
飲食店では、国内外の物価高や円安、エネルギー費の上昇などが複雑に絡み合い、原材料費の高騰が続いています 。 この状況下において、原材料費が以前の水準に戻る可能性は低く 、店舗側も一時しのぎの対策から「腰を据えた対応」へとシフトしつつあります 。 本コラムでは、人件費などには手をつけず、純粋に「原材料費」に関連する項目に絞った「正攻法」のアプローチを解説します 。
目次
はじめに:原材料費が以前の水準に戻る可能性は低い
国内の物価上昇、海外の物価高、円安に加えてエネルギー費の上昇が互いに関連しあいながら、飲食店においても原材料費の上昇が続いています。
情勢を考慮すると原材料費が以前の水準に戻る可能性は低そうです。
この情勢を受け一時的な対策でしのいできた店舗も腰を据えた対応に変わってきています。
原材料費高騰時代の正攻法とは
このコラムではアプローチを人件費などに手を付けず原材料費に関連するものだけで考えてみます。
- 原材料費を下げる
- 皿単価を上げる
- 客単価を上げる
- そのすべての実施
これらが正攻法で王道ですよね。
どれを実施するにしてもメニューに手を入れることが前提になります。
【アプローチ1】原材料費を下げる
仕入先との協働
荷姿、ロットや配送のスパンの変更などをお願いしながら卸やメーカーに協力してもらったり、違う入手先を検討したりなどを実施することになります。
とはいえ、そもそも上がっている原材料の価格を下げることなので簡単ではありません。まずは仕入れ額の大きいものから順に検討、相談していくと少しずつ効果が出てきます。
クロスABC分析による原価ミックス&メニュー再編
原材料費を一皿当たりの原価の集合体だと考えると原価ミックスでの原価低減も見過ごせない観点です。
メニューの中には集客のためにどうしても原価率が高くなってしまうウリのアイテムと、集客に直接寄与するわけではないけれど、来店された方の納得感や満足度を上げるためのアイテム群が存在することが多いですよね。
ウリのアイテムに関しては仕入れ額も大きいケースが多いので、先述のロット、配送、違う仕入先の検討などで利益の確保という対策になります。
納得感や満足度のアイテム群はまた別の対策を実施します。
これらのアイテム群はABC分析に原価率の多寡を交えたクロスABC分析を用いて商品の入れ替えも含めた再編をするのが効果的です。
A商品であったりB商品でも上位のような人気がある商品で、その上、原価率が高くないものはメニューの目立つ場所に配置しなおす。
反対にB商品下位またはC商品でかつ原価率が高いものは違うアイテムに差し替えるなどの対策を実施するということになりますね。 時間や手間を考慮し手を付けるべき順番を考えると人気中位×原価率ほどほどというものを一旦据え置きにすることにすれば、アイテム数のうちの30%程度から手を付けることになることが多い上に、効果も比較的早めに出てきます。
商品廃棄損を正確に把握するロス管理
一言でロス管理と言っても生ものや劣化しやすいものを扱うことが多い飲食店では、「棚卸時点で廃棄物を選別すればいい」というような工業製品のような手法ではロスの把握はできません。
ここでは原材料費の話に限りますのでお客様が食べ残すという観点は一旦置いておきますが、原材料費の枠内に限っても腐敗変敗によるロス、発注ミスによるロス、作成ミスによるロス、売れ残りのロスなど多岐に及びます。
飲食店にとってはロスの把握も大変手間がかかることなので、あきらめてしまってロス分も原材料費に含んでしまうことも多いのが実情ですが、まずは把握しやすい部分から実施することでも効果が期待できます。
営業時間中に起きることが多い作成ミスによるロスはお客様への提供が優先される時間帯を考えるとカウントが大変難しいもののひとつです。
まずは仕込み中に発覚する腐敗変敗によるロス、営業終了後に判明できる売れ残りや発注ミスによるロスから把握を始めてみると実施がしやすくなります。
それらをカウントして「商品廃棄損」として把握できるようになると
- 金融機関からの信頼度が少しでも上がる
- 税務署から経費(損金)として認められる可能性が上がり、適切な税負担につながる
などすべてを同時に実施する形でなくても一定の効果が期待できます。
【アプローチ2】メニュー再編と連動した皿単価の向上
修正液の上に新しい価格を書いたような「ただ単に価格を上げたな」とお客様に思われたくないという方も多い項目ですよね。
これはやはりメニュー再編と同時に実施するべきことですし、先のクロスABCを利用することで、単価を上げるべきアイテムはもちろん人気や原価率を考慮することで下げてもよさそうなアイテムも見えてくると思います。
人気と原価の組み合わせが非常に大事ですし、人気も売上でのABC分析に加えて出数の分析をクロスさせることで、より明確化できるかもしれません。
【アプローチ3】客単価を上げる
皿単価が上がれば客単価は上がりますが・・・
皿単価を上げれば自然と客単価は上がります。
来客数が変わらなければ売上も上がるということになりますね。
これらは当然のことですが、中には皿単価はあまり変えたくないという方もいらっしゃると思います。
その場合にはもう一品やもう一杯を注文していただくということが正攻法ですが、お腹がいっぱいになっている方にもう一品というのも現実的には難しい問題です。
直近でできつつある流れ
それをクリアすべく最近ではスウィーツによる一品獲得というのが増えています。
と言ってもアイスクリームをディッシャーですくってドンというだけでは、あまり目新しさが無く出数も伸びません。
夜パフェの流れも戻ってきていますし、こだわったスウィーツであれば出数の伸びも期待できます。
ただ、パティシエがいる訳でもないのに急にこだわったスウィーツは出せません。
直近で一つ流れができつつあるのが、「シェイク」です。
ファストフードなどで人気のあのシェイクです。
これが扱いやすいのは食材業者のPBなどでシェイクミックスなどの商品が以前から存在していること。
機材は必要ですがパティシエでなくても扱えるということですよね。
シェイクミックスが手に入らなくても難しいレシピは必要ありません。
それから味のバリエーションが作りやすいこと。
さらに良いのはテイクアウトも期待できるという点です。
流れができつつあるのでPBを持っている食材業者はこれを好機ととらえているようです。
おわりに:腰を据えた対策を着実に
ご紹介したどれもが正攻法の対策ですが、これらを着実に実施することが原材料費高騰時代における腰を据えた対策になっていきます。
