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ビール類はどう変わる?酒類メーカーの最新戦略から予測する今後の外食トレンドと提供メニューの変化

豆知識

本コラムでは、大手酒類メーカーの動向から今後の外食市場を読み解きます。人口減少や酒税改正など飲料を取り巻く環境が変化する中、高度な市場分析を行うメーカーの視点は飲食店の戦略立案の参考になるはずです。ビール類の再編や飲食店へのRTD導入、ノンアルコールのトレンドなど、今後の店舗運営とメニュー開発のヒントをお届けします。

はじめに:酒類メーカーの動向から外食市場を読み解く

今回は外食業界と密接な関わりの大手の酒類メーカーの動向から、今後の外食市場や家庭用の食に関わる市場をどのように考えているかを読み解いていきます。

大手の酒類メーカーといえば外食や小売りの企業を商売のパートナーとして、市場を常にウォッチし分析し、そこに知見を含めてマーケティングや実際の販売に反映させています。

市場がすべてその分析通りに動いていくとは限りませんが、参考になる部分も大きいものです。

大手酒類メーカーが予測する市場の「4つの変化」

どの企業の分析を観測しても共通している部分がいくつかあります。

・人口減による酒類市場の縮小

・お酒を飲まない人の増加

・酒税改正

・海外市場への展開拡大

人口減少・20歳以上人口の減少による酒類市場の縮小

これはやはり人口減少が主因です。酒類は特に20歳以上の数と相関があります。周知の通り、日本の場合は出生数が年々減っていくことで人口が減少していくという流れになっています。かたやシニア世代は人口が多いので、総人口は2009年以降減っていますが、20歳以上に限ると2025年から減り始めるとの統計のようです。

お酒を飲める人の減少は始まったばかりという状況で、酒類市場全体としては前年100%前後がこの数年のトレンドのようです。もちろん、値上げなども含んでの100%前後ですので、販売量としては微減傾向であったことは想像できます。

生産人口や成人人口に遅れること数年、いよいよ20歳以上の人口も減り始めるということは各社にとっても外食市場への接し方が変化していくと考えられます。

ソバーキュリアスなど「お酒を飲まない」習慣の増加

こちらは人口減少や20歳以上人口の減少とは違うテーマで、お酒を飲めない、飲まない人が増加しているというより習慣や文化に関連した文脈のものです。

ソバーキュリアス(あえて飲まない)やスマートドリンクなど、10年前とは明らかに違う酒類との接し方が増えているということがテーマになっています。

また、大きな宴会などが減り、小規模グループや1人などでの利用が多いなども含まれています。

2026年10月に向けた段階的な酒税改正

こちらも酒類メーカーにとっては非常に大きな話です。

ビール、発泡酒、第三のビールなどの税率が段階的に近づいていき、2026年10月にはすべて同じ税率になります。

それぞれの価格差は税率による部分が大きかったので、大きな変化が予測されます。

また、酎ハイ類も少し増税されます。

国内市場の縮小に伴うアジア・海外市場への展開拡大

酒税改正は直結しないと思いますが、人口減や飲まない人が増えることは国内市場の縮小を意味しますので、各社、海外市場への展開がより本格的になってきています。

酒類全体では特にアジア市場の伸びが大きく、それに合わせるようにアジアへの展開を増加させています。

特に東南アジアや南アジアへの進出が目立っていて、マレーシアやインドなど需要が伸びると想定される地域で買収や拠点の設置などの動きが見られます。

また、アフリカへも同様の展開を始めた企業もあるようです。

市場変化から予測される飲食店への影響と新たな動き

国内市場は縮小、海外への展開拡大。これだけを読むとまるで大手酒類メーカーが国内市場にはあまり力を入れなくなっていくと読めてしまうかもしれませんが、実態は大きく異なり国内向けにも新商品の開発や投入が活発に検討されています。

酒税改正後のビール類「3カテゴリー化」とエコノミークラスの台頭

ビール類では段階的に酒税の額が統一されていきますが、今はその過渡期にあります。過渡期の最終盤の現在はすでに麦芽の使用料が50%未満の発泡酒と麦芽以外を原料にした第三のビールの酒税は統一されていて、すべて発泡酒になっています。

これら発泡酒も10月以降は麦芽50%以上を使用したビールと酒税額が同一になります。

このことで現在でも人気の発泡酒を麦芽比率50%以上にしてビール化するという方向性が見えてきています。

このことからビール類は大きく3カテゴリーになる方向が見えてきています。

・プレミアムクラスのビール(現在のプレミアムクラスビール)

・スタンダードクラスのビール(現在のスタンダードクラス)

・エコノミークラスのビール(人気の既存発泡酒をビール化したもの)

このようにイメージや価格が分けられることが各社の戦略とされていくことが予測されています。

このようになっていくと、いずれエコノミークラスの樽生ビールが飲食店向けにも開発されていくことにもなるでしょうし、業態によりビールを選ぶ時代もやってきそうです。

外食向けRTD(レディー・トゥー・ドリンク)の導入競争

RTDとはReady To Drink(レディー・トゥー・ドリンク) の頭文字をとったもので、グラスに注げば、あるいはそのまま直接飲める飲料の略称です。

瓶入りのカクテルや日本でいえば缶酎ハイなどもこのカテゴリーにあたります。

世界ではワインやビール類の伸びよりもジンやウォッカ、テキーラなどのスピリッツ類が大きく伸びており、それらをベースに使用したRTDもあわせて人気になっているようです。

国内でもビール類より缶酎ハイを中心としたRTDの伸びの方が大きく、海外での人気獲得を考えるとメーカーとしてもこのカテゴリーに大型商品を開発し、投入するという可能性は大いに考えられます。

外食ではディスペンサーから提供できる樽タイプのRTDが投入される可能性も大いにあり、人気次第ではビール類と同様に各社による積極的な飲食店への導入競争になっていくかもしれません。

課題を解決する「業務用ノンアルコールドリンク」の本格展開

既に家庭用ではまるでお酒を飲んでいるような味わいや雰囲気のノンアルコール、低アルコールドリンクは人気のカテゴリーの一つですが、飲食店ではまだまだそこの充実は達成できていません。

アルコールが入っていると腐敗変敗が比較的おきづらく、安定して長持ちしやすいのですが、お酒が入っていないと長持ちしづらいというノンアルコール特有の事情も大きく関わっています。

長持ちしやすいシロップを炭酸水などで割っただけのものは、飲食店ではなかなか人気になりづらく、大人っぽいフレーバーもある海外ブランドの比較的高価なシロップでバリエーションを作るというのが、今のところの飲食店の正攻法になっています。

飲食店でノンアルコールカクテルのバリエーションを作りたいと考えても、シロップをお茶やジュースやソーダで割っただけではなかなかカクテルには見えないというのもノンアルコールの難しさの一つでしょう。

おわりに:メーカーの戦略を飲食店の経営に取り入れる

アルコールのRTDの盛り上がり、特に先述した飲食店用に樽タイプで提供されることが普通になった後に、家庭用では現状でも人気のカテゴリーであるノンアルコールのRTDが、飲食店向けに業務用市場にも投入されていくのではないかと考えられます。

いずれのメーカーも真剣に外食市場を分析し盛り上げようとしています。

彼らの戦略を見て、必要なものを選択して取り入れていく、今後はよりその意義が高くなっていくのではないでしょうか。

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