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コラム

物価上昇に連動した家賃上昇が飲食業にもたらす現状

飲食店づくり

よく賃貸物件の家賃は物価と連動するといわれます。 実際には物価に少し遅れる形で家賃も変動するようです。 現在の物価上昇基調においては家賃も少し遅れて上昇基調になるということですね。

物価上昇に連動した家賃上昇とは

考えてみれば不動産の管理とはいえ、物価が上がれば人件費や他の様々な経費も上がってくるため、家賃が物価に連動して上がるのも当然のことなのでしょう。

ちなみに不動産売買においては物価の影響も一定程度受けますが、相場価格の方が優先されるので完全に連動するわけではないそうです。

2022年に本格的に物価上昇が始まって住居の家賃もそれに続き、飲食店の賃貸物件にも上昇の波が来ています。

飲食店において変動費的な要素が強い原材料費、人件費に加えて、固定費である家賃までも。という状況ですので既存店でもさすがに価格転嫁に踏み切ることを考えざるを得ないタイミングとも言えます。

家賃の上昇により起きていること

この状況は新規店舗の出店にも影響を与え始めているようです。

家賃が高く利益が出づらいというのももちろん一つの理由です。

もう一点は賃貸物件の取得時の保証金が大きくなってしまい、投資額が大きくなりすぎてしまうことも主因の一つになっているようです。

ご存じの方も多いことだと思いますが、物件の保証金は住居用賃貸物件における敷金のようなものです。

もちろん物件から撤退する際には一部~大部分帰ってくる資金ではありますが、営業している間はずっと預けている資金でもあります。

飲食店物件の保証金は家賃の数か月分~10か月分というのが一般的です。

つまり家賃が上がれば保証金も大きく上がるという構図にあります。

元々住居用より家賃が高額であることが多い飲食店の物件ですから、最初に用意すべき保証金の額もかなり高額になります。

その金額にリスクを感じて出店を踏みとどまったり、金融機関からもそれほどの高額の融資を受けられずにあきらめるケースもあるようです。

独立したい若い世代の新規参入に影響

この例は新規出店にて店舗を増やそうというチェーンにおいても新たな問題として持ち上がっていますが、独立して新規参入しようという方々への影響も深刻です。

既に東京では起きていた問題ですが、調達すべきイニシャルコストが大きすぎて若いうちに独立できる人が少なくなって40代や50代になってようやく独立という状況です。

これがこの物価高に連動した家賃高により東京以外の各地でも起きてきているようです。

人口ピラミッドが三角形から台形、長方形に移っていく中で、人口ボリュームの多い年代が新規参入の中心になると考えればいびつではないという考え方もできます。

居酒屋第四世代が好例ですが、飲食業は若い世代のアイディアと活力が新たな業態を創出し、他の店舗にも良い影響を与え続ける業種でもありますので、人口の多寡に関わらず若い世代のアイディアと活力も重要であると考えられます。

事業承継の今後

方や事業承継に悩む高齢の経営者も増えています。

事業承継に関しては外食にフォーカスしたファンドが複数出てきていますが、これは中堅規模以上のチェーン向けが対象になっているのが現状。単店だとなかなかその対象になることは難しいようです。

単店では事業承継を考えるオーナーとイニシャルコストを抑えたい方とのマッチングのサービスが提供されています。

まだ、利用される方は多くはないようですが認知されれば徐々に広がっていく可能性を秘めています。

情勢を見ると今後も物価上昇に連動して家賃が上がっていく可能性は高いと考えられます。

引き続き新規参入が難しい情勢も続くとともに、既存企業の出店ペースも緩やかになりますので、そのようなマッチングサービスからの物件取得や店舗展開というケースも考えられるかもしれません。

その場合には店名は残して営業してほしいなどの要望などもあるでしょうから、チェーンといえども物件ごとに特徴の違う展開なども考えられるかもしれません。

今後の飲食業の活力維持とは

間貸しと間借りに関しても物件オーナーの承諾が必要だと思いますが、両者のマッチングのサービスの利用が徐々に増えているようです。

事業承継のケースと同様に、全体から見ると利用されているケースはまだ多くはないようですが、今後そのようなサービスが増えていくかもしれません。

さすがに間借りだけでチェーン化というのは今のところ現実的ではありませんが、そのような企業や市場ができてくる将来もあり得るという情勢だとも考えられますよね。

こう考えてみると、近くのお店は差別化しながらのライバルでもありますが、ある種の互助的な業種に変化していくその過渡期にあるのかもしれません。

それらが結果として若い世代を取り込みながら飲食業の活力の維持につながることが期待できますね。

酒村洋行氏の写真 筆者紹介 酒村 洋行(株式会社アスピット)
都内のフレンチやイタリアンレストランにて、サービススタッフおよびソムリエとして豊富な経験を積む。 その後、大手酒類メーカーに活躍の場を移し、飲食店向けコンサルティング部門にてコンサルタントとして従事。 飲食店の代表取締役を経験した後、2020年3月より株式会社アスピットにて現職。現場と経営、双方の視点から外食産業の課題解決に取り組んでいる。

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