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飲食店の食品ロス削減は食材管理から|発注・在庫・棚卸の改善ポイント【サステナウィーク2026】

サステナビリティ

飲食店の食品ロス削減には、食べ残し対策だけでなく、発注・仕入・在庫・棚卸といった日々の食材管理を見直すことが重要です。本記事では、2026年度の最新データをもとに、食品ロスの現状と、飲食店が取り組める具体的な削減方法を紹介します。

飲食店に食品ロス削減が求められる理由

日本の食品ロスは年間461万トン

2026年6月30日、2024年度(令和6年度)の食品ロス量推計値が公表されました。日本全体の食品ロス量は年間約461万トンで、前年度の464万トンから3万トン減少しました。

全体では減少した一方、事業系食品ロスは増加しました。外食需要の回復傾向なども背景として考えられており、外食産業にとって食品ロス削減は引き続き重要なテーマです。

出典:環境省・農林水産省・消費者庁「令和6年度(2024年度)食品ロス推量計値について」

外食産業は事業系食品ロスの約3割

2024年度の事業系食品ロス237万トンを業種別に見ると、食品製造業110万トン、食品卸売業9万トン、食品小売業48万トン、外食産業70万トンです。外食産業は事業系全体の約30%を占めます。

典:農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」(2026年6月30日)

2024年度の食品ロス461万トンによる経済損失は、国全体で約3.8兆円、国民1人当たりでは年間約3万1千円と推計されています。食品ロスは環境問題であると同時に、経済的な損失でもあります。

飲食店では、廃棄した食材は「仕入れたのに売上にならなかったコスト」です。
食品ロスを減らすことは、原価改善そのものと捉えることができます。

食品ロスによる経済損失と2030年度の削減目標

政府は、事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに60%削減する目標を設定しています。2024年度は57%削減の水準で、目標となる219万トンまで、さらに約18万トンの削減が必要です。

削減を続けるには、売れ残りや食べ残しへの対策だけでなく、店舗の中で日々発生する「余分な発注」「過剰在庫」「期限切れ」「棚卸差異」などを減らす視点が欠かせません。

飲食店の食品ロスはどこで発生するのか

食品ロス削減というと、食べ残しの持ち帰りやフードシェアリングなどが注目されがちです。しかし、飲食店で毎日繰り返される業務の中にも、食品ロスにつながるポイントがあります。

  • 欠品が怖くて、つい多めに発注する。
  • 発注数量と実際の納品数量の差異に気づかない。
  • 冷蔵庫や倉庫にある在庫を正確に把握できていない。
  • 棚卸で差異が出ても、原因まで確認できていない。

食品ロス削減につながる4つの食材管理

1.発注量を売上・予約状況に合わせる

過去の売上や食材の使用実績、曜日・季節・予約状況などを確認し、必要以上の在庫を抱えない発注を意識します。欠品防止と過剰在庫のバランスがポイントです。

2.仕入数量と納品内容を正確に確認する

発注した数量と実際に納品された数量を確認します。数量・単価・納品漏れなどの差異を放置すると、その後の在庫管理や原価管理にもズレが生じます。

3.在庫を見える化して食材を使い切る

在庫を保管場所ごとに整理し、使用期限の近い食材から使う、同じ食材を複数箇所に分散させないなど、誰が見ても分かる状態をつくります。

4.棚卸差異の原因を確認する

棚卸は在庫金額を確認するだけでなく、帳簿上の数量と実在庫の差を確認する機会です。差異が大きい食材や廃棄が多い食材を把握し、原因を振り返ることが改善につながります。

食品ロスを減らす「見える化」と「仕組み化」

すべての食材を一度に完璧に管理する必要はありません。まずは、廃棄や差異が起きやすい食材から、数字で確認できる状態をつくることが大切です。

廃棄量を数字と金額で把握する

発注・仕入・在庫・棚卸などの状況を、数字やデータで確認できるようにします。使用頻度の高い食材、廃棄が多い食材、原価への影響が大きい食材などを把握すると、改善対象を絞りやすくなります。

店舗全体で続けられるルールをつくる

特定の担当者だけに頼るのではなく、店舗で継続できるルールとして定着させます。たとえば「期限の近い食材を毎日確認する」「納品時に発注数量との差を確認する」「棚卸差異が大きい食材は原因を確認する」といった小さなルールでも効果があります。

食品ロスは、厨房のゴミ箱を見て初めて分かるものだけではありません。
発注 → 仕入 → 在庫 → 使用 → 棚卸 の流れを追うことで、「どこでロスが生まれているか」が見えやすくなります。

食べ残しを減らすために飲食店ができること

小盛り・提供量の調整

外食時の食品ロス対策では、まず「食べきり」が基本です。そのうえで、やむを得ず食べきれない料理については、2024年12月に厚生労働省・消費者庁が策定した「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を踏まえ、安全面に配慮した持ち帰りの取り組みも選択肢となっています。

小盛り・小分けメニュー、提供量の調整、宴会時の適量提供など、店舗側ができる工夫も食品ロス削減につながります。

食べ残しの持ち帰りとmottECO

外食分野では、食べきれなかった料理を消費者自身の責任で持ち帰る「mottECO(モッテコ)」など食べ残しを減らす取り組みも進められています。「つくり過ぎない」「仕入れ過ぎない」「食材を使い切る」「料理をできるだけ食べきる」—————食材の入口から出口までを考えた対策が、これまで以上に重要になっています。

食品ロス削減が飲食店の原価改善につながる理由

廃棄には仕入れ以外のコストもかかる

食品ロスを減らすことは、環境への貢献だけではありません。廃棄する食材にも、仕入代だけでなく、運搬・保管・調理・廃棄にかかるコストが含まれています。

たとえば、月商800万円、食材原価率35%の店舗の場合、食材原価は月280万円です。仮に食材原価の2%分に相当するロスを削減できたとすると、単純計算では次のようになります。

280万円 × 2% = 月5万6,000円
年間では約67万円の改善余地になります。

※実際の効果は、店舗の業態・食材構成・廃棄状況などによって異なります。

欠品防止や棚卸業務の効率化にもつながる

1日単位では小さく見える廃棄でも、全店舗・年間で見ると大きな金額になることがあります。「捨てた量」だけでなく「金額」で確認することで、スタッフにも改善効果が伝わりやすくなります。

また、食材管理が整うことで、欠品防止、原価の安定、棚卸作業の効率化など、食品ロス削減以外の効果も期待できます。

2026年に進む食品ロス削減の新しい取り組み

食品ロスをめぐっては、食品寄附の促進や、フードバンクの信頼性向上に向けた制度整備も進んでいます。2026年7月には、消費者庁が「認証フードバンク」の初認証を公表しました。店舗での発生抑制を第一にしつつ、余剰食品を有効活用する社会的な仕組みも広がっています。

2024年度の食品ロスは、推計開始以降で最少となる461万トンまで減少しました。一方、事業系食品ロスは237万トンへ増加し、外食産業では70万トンが発生しています。

だからこそ、飲食店では「特別な活動」だけではなく、日々繰り返している業務の中に改善のヒントがあります。

飲食店の食品ロス削減は身近な食材管理から

ASPITでは、発注・仕入・在庫・棚卸など、飲食店の日々の食材管理業務を支援しています。食品ロスを減らすことが、環境にも、店舗経営にもプラスになる。サステナウィーク2026をきっかけに、まずは身近な「食材管理」から始めてみませんか。

アスピット「サステナウィーク2026」

2026年10月19日(月)~11月3日(火)

アスピットでは、この期間を「サステナウィーク2026」として、サステナビリティについて考え、さまざまな取り組みを行います。外食産業にとって身近なテーマとして「食品ロス削減」を取り上げます。

食品ロスの削減は、環境への配慮だけではありません。食材価格や人件費などのコスト上昇が続く中、廃棄を減らすことは食材原価の改善、利益の確保、そして持続可能な店舗運営にもつながります。


参考資料

・消費者庁「2024(令和6)年度食品ロス量推計値の公表について」(2026年6月30日)

・農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」(2026年6月30日)

・消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(2025年3月25日閣議決定)

・厚生労働省/消費者庁「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」(2024年12月)

・消費者庁「認証フードバンク」の初認証について(2026年7月28日)

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