外部環境の変化に負けない!全東信破産に学ぶ「攻め」と「守り」の2026年度 助成金活用術
原材料費や光熱費の高騰、最低賃金の引き上げ、人件費の上昇、そして深刻な人手不足――。飲食店を取り巻く経営環境は、年々厳しさを増しています。 さらに2026年7月6日には、決済代行会社「全東信」が破産手続開始決定を受け、多くの飲食店がカード売上金の入金遅延や決済手段の見直しを迫られました。この問題は過去の出来事ではなく、今なお進行中です。連鎖倒産への懸念から、金融庁や中小企業庁が金融機関に資金繰り支援の徹底を要請するなど、対応は現在も続いています。「まさか」が現実に起こり、しかもすぐには収束しない。そのことを、多くの経営者が実感しているのではないでしょうか。 このような時代だからこそ必要なのは、目の前の課題に対応するだけではなく、変化に強い経営基盤を築くことです。設備投資やDX、人材育成、働きやすい職場づくりへの投資は、生産性を高めるだけでなく、不測の事態にも柔軟に対応できる企業体質づくりにつながります。 そして、その取り組みを力強く後押ししてくれるのが、国や自治体が実施している助成金・補助金制度です。今回は、2026年度に飲食店が押さえておきたい制度を、「攻め」と「守り」の視点からご紹介します。
目次
飲食店の経営課題から選ぶ補助金・助成金
「結局、自社にはどの制度が合っているのか分からない」という方のために、まずは経営課題ごとに活用できる制度を整理しました。
| 経営課題 | 活用できる制度 | 活用例 |
| DX・業務効率化 | デジタル化・AI導入補助金 | ASPIT、AI需要予測、電子帳票、 在庫管理 |
| 人手不足・賃上げ対応 | 業務改善助成金 | POSレジ、セルフレジ、 配膳ロボット、モバイルオーダー |
| 労務改善・働き方改革 | 働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース) | 勤怠管理、シフト管理、 労務管理システム |
| 人材育成・定着 | 人材確保等支援助成金 (雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) | 評価制度、教育研修、福利厚生、 職場環境整備 |
「POINT」
補助金・助成金は目的によって対象制度が異なります。まずは自社の経営課題を整理し、最適な制度を選ぶことが成功への第一歩です。
「全東信」破綻の影響は、今も広がっている
全東信の破産手続きは2026年7月6日に開始されましたが、その影響は収束しておらず、現在進行形の問題として広がり続けています。カード決済の入金を一社に任せていたことで、売上金の回収が予定どおり進まず、資金繰りに影響を受けた店舗は今も増え続けています。取引金融機関への波及も報じられており、連鎖的な経営悪化への懸念から、行政による資金繰り支援の要請も続いている状況です。
改めて浮き彫りになったのは、一つのサービスや取引先に依存するリスクです。
もちろん、このような事態は決済サービスに限った話ではありません。原材料価格の急騰、人件費の上昇、制度改正、災害、感染症、取引先の経営悪化など、経営環境は常に変化しています。
だからこそ、次のような「備え」が重要になります。
- 決済手段や取引先を分散させること
- 業務効率化によって利益を確保すること
- 人手不足でも運営できる仕組みをつくること
- 手元資金に余裕を持てる経営体質を整えること
その備えを進めるための有効な手段が、助成金・補助金の活用です。
「攻め」の投資を後押しする助成金・補助金
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
2026年度から名称が変更され、生成AIを活用した業務改善ツールも対象となりました。POSレジやモバイルオーダー、予約管理システム、販売管理システム、キャッシュレス決済など、飲食店のDXを進めるITツールの導入費用を支援する制度です。
- 補助額:最大450万円
- 補助率:1/2(小規模事業者等は要件により4/5)
- 対象:中小企業・小規模事業者
活用例:ASPIT、AI需要予測、発注管理、在庫管理、勤怠管理、電子帳票など
申請にはGビズIDの取得やSECURITY ACTIONの宣言が必要で、交付決定後に導入を開始し、効果を実績報告する流れになります。ITツールの導入だけでなく「業務改善」「生産性向上」の効果を示すことが採択のポイントです。
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)
労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に取り組む事業者を支援する制度です。勤怠管理やシフト管理システムなど、労務管理のデジタル化にかかる費用も対象になります。2026年度は、割増賃金率の引き上げに対応した加算が新設されました。
- 助成率:3/4(一定要件で4/5)
- 助成上限:最大150万円(加算あり)
- 対象:中小企業・小規模事業者
活用例:勤怠管理システム、シフト管理、労務管理ソフトなど
改善計画を事前に提出し、交付決定後に導入、成果目標を達成したうえで実績報告・支給申請という流れです。勤怠・シフト管理のデジタル化により、労働時間の適正管理と生産性向上を同時に実現できます。
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
人材の定着や離職率の低下を目的に、雇用管理制度の整備や働きやすい職場環境づくりを支援する制度です。人事評価制度の導入や新人教育・研修制度の充実、配膳ロボットなどによる業務負担軽減も対象になります。
- 助成額:最大230万円(賃上げ要件を満たす場合は287.5万円)
- 対象:中小企業・小規模事業者
活用例:人事評価制度の導入、新人教育・研修制度、福利厚生の充実、配膳ロボット等による業務負担軽減など
整備計画を作成・提出し、認定後に制度・設備を導入、一定期間運用して成果を確認したうえで実績報告・支給申請を行います。採用だけでなく「辞めない職場づくり」に投資したい店舗におすすめの制度です。
「守り」の経営を支える制度
業務改善助成金
最低賃金の引き上げと、生産性向上のための設備投資を組み合わせて実施する事業者を支援する制度です。POSシステムやセルフオーダー、調理機器などの導入と賃上げを組み合わせることで、高い助成率が適用される場合があります。
- 補助額:最大600万円
- 助成率:事業場内最低賃金1,050円未満は4/5、1,050円以上は3/4
- 対象:中小企業・小規模事業者
活用例:POSレジ・セルフレジ、モバイルオーダー、配膳ロボットなど
最低賃金の引き上げが続く中、「賃上げを前向きな投資につなげる」という考え方で活用できる制度です。ただし、設備の購入や賃上げを実施した後では申請できません。申請受付は9月1日開始で、予算上限に達し次第終了となるため、早めの準備が重要です。
セーフティネット制度もあわせて活用を
助成金・補助金は返済不要というメリットがありますが、交付までには一定の期間がかかります。急な資金需要に備えるためには、日本政策金融公庫のセーフティネット貸付や信用保証協会の保証制度なども、あわせて確認しておくと安心です。
将来への投資は助成金・補助金で、当面の資金繰りは融資制度で支える――。この二つを組み合わせることで、変化に強い経営基盤を築くことができます。
制度を「知る」だけで終わらせないために
助成金・補助金は、単にコストを抑えるための制度ではありません。DXの推進、人材確保・定着、業務効率化、設備更新など、将来への投資を後押しし、変化に強い経営を実現するための制度です。
一方で、制度ごとに申請要件や申請時期、公募スケジュールが異なるため、「自社は対象になるのか」「どの制度を活用すればよいのか分からない」という声も少なくありません。
そこでASPITでは、飲食店経営者の皆様を対象に、2026年度 助成金活用セミナーを開催いたします。

講師:高橋 和宏 氏(助成金制度推進センター)
開催日:2026年8月27日(木)/ 2026年7月29日(水)終了 ※いずれも同内容
時間:14:00〜15:00 形式:無料オンライン配信
本セミナーでは、以下の内容を分かりやすくご紹介します。
- 2026年度の最新助成金・補助金制度
- 飲食店で活用しやすい制度の選び方
- DX・設備投資・人材定着に活用できる制度
- 活用事例と申請時のポイント
視聴特典:助成金対象診断(無料)
セミナーにご参加いただいた方には、自社が対象となる助成金・補助金を診断できる特典をご用意しています。ASPITはPOSレジや厨房機器等のシステム導入にも活用いただけますので、あわせてご相談ください。
こんな経営者様におすすめ
- 助成金を活用して設備投資を進めたい
- 人手不足対策を検討している
- 自社で活用できる制度を知りたい
助成金・補助金は、早めの情報収集と計画的な準備が活用への第一歩です。ぜひこの機会に最新情報を収集し、2026年度を「守り」だけではなく、「攻め」の一年にしていきましょう。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
