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社会保険料の会社負担はいくら?割合・計算方法を飲食店向けに解説【2026年版】

人材・労務管理

「新しくパートを雇ったら、思ったより人件費がかかってしまった...」 「給与を上げたいけど、社会保険料も上がるから踏み切れない...」 飲食店経営者の多くが、このような悩みを抱えています。給与25万円の正社員を雇用すると、給与とは別に約3.75万円(15%)の社会保険料を会社が毎月負担します。つまり、実質的な人件費は約28.75万円に達するのです。 この“見えない15%のコスト”を正確に把握していないと、採用計画やメニュー価格の設定が狂い、気づいたときには赤字体質に陥ることもあります。社会保険料の仕組みを理解することで、“なんとなく”ではなく“根拠を持った”経営判断ができるようになります。 今回のコラムでは、多くの飲食店経営者が見落としがちな「社会保険料の会社負担」について、具体的な数字とともに徹底解説します。正確な人件費を把握することで、価格設定、シフト管理、採用戦略のすべてが変わります。

従業員を雇用すると、会社が負担するのは給与だけではありません。条件を満たす従業員については、健康保険、厚生年金保険、介護保険などの社会保険料に加え、雇用保険や労災保険なども事業主が負担します。そのため、月給25万円の従業員を採用しても、会社の実際の人件費が25万円で収まるわけではありません。特に飲食店では、人件費率やシフトを管理するうえで、給与だけでなく会社負担分の保険料まで含めた実質的な人件費を把握することが重要です。この記事では、2026年度の制度をもとに、社会保険料の会社負担割合、計算方法、給与別の考え方、パート・アルバイトの加入条件まで解説します。

※保険料率は加入している健康保険、都道府県、年齢などによって異なります。本記事の金額は目安として確認してください。

社会保険料の会社負担はいくら?

会社が負担する主な保険料等には、以下があります。

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項目主な会社負担
健康保険保険料の原則1/2
厚生年金保険9.15%
介護保険保険料の原則1/2 ※40~64歳
子ども・子育て支援金保険料の原則1/2
雇用保険一般の事業で0.85%
労災保険飲食店等で0.3%
子ども・子育て拠出金0.36%・全額事業主負担

厚生年金保険料率は18.3%で固定されており、事業主と従業員が原則半分ずつ負担するため、会社負担は9.15%です。健康保険料率は全国一律ではなく、協会けんぽの場合は都道府県ごとに異なります。例えば2026年度の東京都は9.85%で、労使折半の場合、会社負担の目安は4.925%です。さらに2026年度から、子ども・子育て支援金率0.23%が加わっています。そのため、「会社負担は必ず給与の15~16%」と固定して考えるのではなく、加入する健康保険・年齢・給与等級などをもとに確認する必要があります。

会社が負担する保険料の種類

1. 健康保険

健康保険は、従業員やその家族が病気やけがをした際などに医療給付を受けるための制度です。協会けんぽの場合、保険料率は都道府県によって異なります。

2026年度の東京都の健康保険料率は9.85%です。原則として事業主と従業員が折半するため、双方の負担は約4.925%ずつとなります。ただし、実際の保険料は給与額そのものではなく、標準報酬月額をもとに計算されます。

2. 厚生年金保険

厚生年金保険料率は18.3%です。事業主と従業員が半分ずつ負担するため、会社負担は**9.15%**となります。健康保険と同様に、毎月の給与に対して単純に9.15%を掛けるのではなく、標準報酬月額をもとに計算します。賞与についても標準賞与額に保険料率を掛けて計算し、事業主と従業員が折半します。

3. 介護保険

40歳以上65歳未満の従業員は、健康保険料に加えて介護保険料が発生します。2026年度の介護保険料率は全国一律1.62%です。協会けんぽの場合、これを原則として事業主と従業員で折半します。

そのため、同じ給与額でも、

  • 30歳の従業員
  • 45歳の従業員

では会社負担額が異なる場合があります。

4. 子ども・子育て支援金

2026年度から、新たに子ども・子育て支援金の徴収が始まっています。2026年度の支援金率は0.23%です。協会けんぽでは2026年4月分、5月納付分から加算されています。健康保険と同様、事業主と被保険者が負担する仕組みとなっています。2025年以前の記事を更新する場合は、この項目が抜けていないか確認が必要です。

5. 雇用保険

雇用保険は、失業時の給付や雇用継続などを支える制度です。2026年4月1日から2027年3月31日まで、一般の事業における雇用保険料率は合計1.35%です。

その内訳は、

  • 労働者負担:0.5%
  • 事業主負担:0.85%

となっています。

2025年度から料率が変更されているため、前年の数値をそのまま使用しないよう注意しましょう。

6. 労災保険

労災保険は、業務中や通勤中のけがなどに備える制度です。労災保険料は全額事業主負担です。「卸売業・小売業、飲食店または宿泊業」の労災保険率は1,000分の3、つまり0.3%です。2026年度も2025年度から料率変更はありません。

7. 子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金は、厚生年金の適用事業主が負担する拠出金です。2026年度の拠出金率は**0.36%**で、従業員負担はなく事業主が負担します。

名称が似ていますが、

  • 子ども・子育て支援金
  • 子ども・子育て拠出金

は別の制度です。

2026年度以降の人件費を計算する際には、両方を確認する必要があります。

給与25万円の場合、会社負担はいくら?

社会保険料の正確な計算では、実際の給与額ではなく「標準報酬月額」を使用します。例えば給与が25万円前後の場合でも、保険料計算上の標準報酬月額が給与額と完全に一致するとは限りません。

そのため、採用時の概算では、 給与+社会保険・労働保険等の会社負担分 まで含めて人件費予算を設定しておくことが重要です。

例:東京都・30歳・月給25万円程度の場合

2026年度の東京都の協会けんぽに加入しているケースでは、概算すると会社側には以下の負担が発生します。

項目会社負担の考え方
健康保険約4.925%相当
厚生年金9.15%
子ども・子育て支援金約0.115%相当
雇用保険0.85%
労災保険0.3%
子ども・子育て拠出金0.36%

40〜64歳の場合は、さらに介護保険の会社負担が加わります。

したがって、人件費を「給与25万円」とだけ見積もるのではなく、社会保険・労働保険等を含めて数万円程度の会社負担が追加されることを前提に予算を組む必要があります。

※実際の金額は標準報酬月額、健康保険の加入先、都道府県、年齢などによって変わります。

社会保険料は給与×料率で単純計算できない

社会保険料を理解するうえで重要なのが「標準報酬月額」です。健康保険と厚生年金の保険料は、実際の給与額に直接料率を掛けるのではなく、給与を一定の幅で区分した標準報酬月額を使って計算します。

例えば、給与25万円 × 会社負担率 と単純計算した金額と、実際に納付する社会保険料が異なる場合があります。正確な採用コストや給与シミュレーションを行う場合は、加入している健康保険の保険料額表を確認しましょう。

パート・アルバイトも社会保険に加入する?

飲食店では正社員だけでなく、パート・アルバイトの加入条件も重要です。2026年8月時点では、一定規模以上の企業で働く短時間労働者について、主に以下の条件を満たす場合に社会保険の加入対象となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上
  • 学生ではない
  • 2か月を超えて雇用される見込み
  • 対象となる企業規模などの条件を満たしている

2027年9月までは、企業規模について「従業員数51人以上」が一つの基準となっています。

2026年10月から賃金要件が撤廃予定

パート・アルバイトの社会保険については、2026年10月に大きな変更が予定されています。現行の「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件は、2026年10月に撤廃予定です。

そのため、「月8.8万円未満なら社会保険に加入しない」という基準だけで今後の人員計画を立てることはできません。飲食企業では、2026年秋以降のシフトや採用計画を考える際に制度変更を確認する必要があります。

企業規模要件も段階的に拡大

短時間労働者への社会保険適用は、今後さらに拡大する予定です。

厚生労働省によると、

時期対象となる企業規模
2027年9月まで51人以上
2027年10月~36人以上
2029年10月~21人以上
2032年10月~11人以上
2035年10月~10人以下にも拡大

と段階的に対象が拡大されます。

複数店舗を展開する飲食企業では、店舗単位だけではなく、企業全体として適用対象になるかどうかを確認しておくことが重要です。

「週20時間未満にすれば社会保険料を削減できる」と考えるのは危険

社会保険料を抑えるために、「全員の勤務時間を週20時間未満にすればいい」と考えるのは適切ではありません。

必要な人員配置や従業員の希望を無視してシフトを短くすると、

  • 採用競争力の低下
  • 従業員の収入減少
  • 定着率の低下
  • シフト管理の複雑化
  • 人手不足

につながる可能性があります。

制度上の加入条件を正しく理解したうえで、社会保険料だけではなく、店舗運営全体の人件費と生産性を考えることが重要です。

社会保険料を含めた「実質人件費」を管理する

飲食店の人件費を管理するときは、給与だけを見るのでは不十分です。

例えば、

  • 基本給
  • 時間外手当
  • 社会保険料の会社負担
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 各種拠出金

などを含めて考える必要があります。

特に複数店舗を運営している場合は、

A店舗は売上に対して人件費が適正なのか
B店舗はシフト人数が多すぎないか
人件費上昇によって利益率がどう変わったか

を店舗別に確認できる状態にしておくことが重要です。社会保険料を含めた人件費を把握したら、次に確認したいのが「その人件費でどれだけ売上を生み出しているか」です。

スタッフ1人・1時間あたりの売上を示す「人時売上高」を確認すると、店舗の人員配置や生産性をより具体的に評価できます。

社会保険料増加を踏まえて確認したい3つの指標

1. 人件費率

人件費率は、 人件費 ÷ 売上高 × 100 で算出します。

給与だけではなく、会社が負担する社会保険料などをどこまで人件費として管理するかを社内で統一しておきましょう。

2. 人時売上高

人時売上高は、従業員1人が1時間あたりどれだけ売上を生み出したかを見る指標です。給与や社会保険料が上昇する中では、単純に人員を削減するのではなく、売上と労働時間のバランスを見ることが重要です。

3. FL比率

FL比率は、

  • F=Food(食材費)
  • L=Labor(人件費)

を売上高と比較する指標です。

食材費と人件費の両方が上昇している飲食店では、社会保険料を含めた実際の人件費を把握することで、店舗の収益構造をより正確に確認できます。

社会保険料の負担増に対応する方法

シフトを売上データに合わせる

人件費削減のために一律にスタッフ数を減らすのではなく、時間帯別の売上や客数を確認します。売上が少ない時間帯に人員が集中していれば、シフトを調整する余地があります。

店舗ごとの人件費を比較する

複数店舗では、同程度の売上でも人件費に大きな差が出ることがあります。

店舗別に、

  • 売上
  • 労働時間
  • 人件費
  • 人時売上高

を比較すると、人員配置を改善すべき店舗を発見しやすくなります。

採用前に総人件費をシミュレーションする

新しく従業員を採用するときは、月給25万円だから年間300万円という計算だけで判断しないことが重要です。給与だけでなく、社会保険料や労働保険等の会社負担まで含めて年間コストを試算します。

ASPITで売上と勤怠を一元管理

社会保険料そのものを減らすことだけが、人件費改善ではありません。重要なのは、売上に対して適切な人員配置になっているかを把握することです。

ASPITでは、飲食店運営に必要な勤怠管理やシフト管理、売上管理などをまとめて管理できます。

売上と勤務実績を確認できる環境を整えることで、

  • 店舗別の人件費
  • 時間帯別の勤務状況
  • 売上に対する人員配置
  • 店舗間の差

などを確認しやすくなります。

給与だけでは見えない「実際の人件費」を把握し、店舗ごとの人員配置を見直したい方へ

社会保険料の会社負担に関するよくある質問

社会保険料は会社が半分負担するのですか?

健康保険や厚生年金保険などは原則として事業主と従業員で負担します。厚生年金保険料は18.3%を労使で折半するため、会社負担は9.15%です。

ただし、労災保険や子ども・子育て拠出金など、会社のみが負担するものもあります。

社会保険料の会社負担は給与の15%ですか?

一律15%ではありません。健康保険料率は都道府県などによって異なり、40〜64歳は介護保険料も加わります。また、標準報酬月額をもとに計算するため、実際の給与へ一定割合を掛けるだけでは正確な金額にならない場合があります。

パート・アルバイトも社会保険に加入しますか?

条件を満たせば加入対象になります。2026年8月時点では、週20時間以上、月額8.8万円以上などの要件がありますが、賃金要件は2026年10月に撤廃予定です。

社会保険料は賞与にもかかりますか?

健康保険・厚生年金保険は賞与にもかかります。標準賞与額に保険料率を掛け、事業主と従業員が折半して負担します。

会社負担分はどうやって正確に確認できますか?

健康保険については加入している保険者の保険料額表、厚生年金については日本年金機構の保険料額表などを確認します。正確な給与計算や社会保険の適用判断については、必要に応じて社会保険労務士などの専門家へ確認してください。

まとめ

従業員を雇用すると、会社には給与以外にも社会保険・労働保険等の負担が発生します。

特に確認したいのは、

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 介護保険
  • 子ども・子育て支援金
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

です。

2026年度は、子ども・子育て支援金の開始や雇用保険料率の変更に加え、10月には短時間労働者の社会保険加入に関する賃金要件の撤廃も予定されています。

飲食店では、給与だけで採用やシフトの予算を考えるのではなく、会社負担分まで含めた「実質人件費」を把握することが重要です。

そのうえで売上、勤怠、人員配置を一緒に確認し、単純な人員削減ではなく、売上に対して適切な人員配置を目指しましょう。

※本記事は、一般的な情報を提供することを目的としており、法律的な助言を行うものではありません。最新の情報は、必要に応じて専門家への相談を行うことをお勧めします。また、本記事の内容についての保証はいたしかねます。本記事の利用により生じた損害について、当社は一切の責任を負いません。

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