予約ツールが普及した昨今では、飲食店の無断予約キャンセルが問題となっています。 本記事では、無断で予約がキャンセルされる原因やキャンセル料の相場などを解説。 キャンセルされないようにするための対策も紹介するので、飲食店経営者の方はぜひ参考にしてみてください。
飲食店での予約キャンセルについて
消費者庁の『キャンセル料に関する消費者の意識調査』(※1)では、旅行や習い事などのサービスを予約し、キャンセル料が発生するタイミングでキャンセルした2,000人のうち、実際にキャンセル料を支払った人の割合が67.6%でした。
また同調査では、飲食店においてキャンセル料を支払った割合が約40%(※2)と、他のサービスと比較すると低い結果となりました。この要因は、飲食店の場合はキャンセル理由を伝えて支払いが免除された割合が約35%で他のサービスよりも高かったため、キャンセル料を支払う人が少なくなかったと推測できます。
他の回答では、支払いを求められたにも関わらず支払いに応じなかった割合が10%未満、支払いを求められなかったため支払わなかった割合が約20%という結果でした。このように、飲食店は他サービスと比較するとキャンセル料を支払う人が少なく、支払いに応じない人も一定数いることが確認できます。
※1:"消費者庁 公式HP"参照
※2:事前決済によって自動的に清算された場合を含む
無断キャンセルとドタキャンの違い
飲食店の予約のキャンセルには、「ドタキャン」と「無断キャンセル」の2種類があります。2つの違いは以下の通りです。
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ドタキャンの場合はお店に連絡が入るため、キャンセルされた席にお客様を案内することができます。一方無断キャンセルの場合はお店に連絡が入らないため、予約が入っている席を開けておかなければなりません。
飲食店での予約の無断キャンセルの原因
無断キャンセルを防ぐためには原因について理解し、対処方法について考えたいもの。ここからは、以下のような飲食店での予約の無断キャンセルの原因について詳しく解説します。
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予約ツールの普及
飲食店はグルメサイト経由の予約が主流となっており、予約ツールの普及によって無断キャンセルが増加していると考えられます。とりあえず場所を確保するために予約したり、とりあえず人気だから予約したりと、「とりあえず予約」する人が増加しているのが現状です。
電話よりも簡単に予約できるメリットが仇となり、予約に対する意識が低くなることで無断キャンセルされてしまう原因となっています。
キャンセル料の請求を避けるため
飲食店によっては、当日や前日のキャンセルに対してキャンセル料の支払いを定める「キャンセルポリシー」を設けている店舗も少なくないでしょう。キャンセルポリシーは、予期せぬキャンセルによる収益の損失を軽減する役割があります。
しかし、このキャンセルポリシーが無断キャンセルを促してしまう可能性にも注意が必要です。キャンセル料の請求を避けるため、連絡をしないことでキャンセル料の支払いから逃れようと考える人がいるためです。
顧客が予約を忘れる
キャンセルに悪意があるわけではなく、予約したことを忘れてしまい無断キャンセルとなっている人もいます。予約から来店日まで長期間空いてしまう場合は、予約を忘れやすくなるので注意が必要です。
無断キャンセルによる飲食店の損失
無断キャンセルによる飲食店側の損失は、以下の通りです。ここからは、無断キャンセルによる損失について詳しく解説します。
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食材費の損失
席だけでなく事前注文ありの予約が無断キャンセルされた場合、その時間帯の売上がなくなることに加え仕入れた食材費が無駄になるため、飲食店側に大きな損失を与えます。
なかでもさまざまな料理を提供するコース料理は、食材の量も通常のメニューと比べ多くなるため、その分お店側の負担も多くなることでしょう。
予約席による機会損失
無断キャンセルされた場合は、来店の有無が分からず予約時間を過ぎても席を確保しなければなりません。この場合、予約で確保されていた席にお客様を案内できず、本来得られるはずの売上を失う機会損失となってしまいます。
飲食店でのキャンセル料の請求について
飲食店で実際にキャンセルされた際に、キャンセル料を請求できるのかについて解説します。キャンセル料の相場も解説するので、参考にしてみてください。
キャンセル料の相場
コース予約がキャンセルされた場合は飲食店側が料理を準備しているため、予定していた料金の全額をキャンセル料として請求するのがよいでしょう。席のみの予約がキャンセルされた場合は、平均客単価の約5〜7割をキャンセル料として請求するのが相場です。これは、他のお客様に転用できる費用を差し引いた額が相当とされています。
また、前日にキャンセルの連絡があった場合は、予約代金の約3〜5割をキャンセル料として請求するのが相場です。ただし大人数の場合は用意する食材や準備する品数を考慮すると、損失の度合いが異なります。適切なキャンセル料を設定するようにしましょう。
損害賠償の請求が可能であるが請求する飲食店が少ないのが現状
キャンセルによって飲食店側が損失を被った場合、民法で定められる債務不履行や不法行為に該当するため、相手に損害賠償の請求が可能です。
ただし裁判や賠償額の算定には、労力や時間、費用がかかります。これらを考えると、損害賠償請求は可能でありますが、実際に請求する飲食店は少ないのが現状です。
予約キャンセルの対応策
飲食店側はなるべくキャンセル数を減らしたいもの。ここからは、以下のような予約キャンセルの対応策について詳しく解説します。
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予約のリマインドを行う
予約から来店まで1ヶ月以上空いてしまう場合、うっかり予約したことを忘れてしまう場合もあります。予約した日の1週間前や前日、当日などにリマインドを実施することで無断キャンセルが防げる可能性が高くなります。
リマインドの方法は、電話やSNS、予約ツールを利用するのがおすすめ。予約ツールでは自動的にリマインドしてくれるため、連絡の手間を省きたい場合や忙しくて連絡できない場合に導入するのがよいでしょう。
事前決済サービスやデポジットを利用する
予約キャンセルの対応策として効果的な方法の1つに、事前決済サービスやデポジットを利用することが挙げられます。予約時に料金の数割を前払いすることで、キャンセルしにくい状況に繋がります。
事前決済やデポジットの導入によって、とりあえず予約するような予約への意識が低い人が減少し、予約に対して慎重に考えるようになる人が増加するでしょう。
キャンセル料やキャンセルポリシーを設定する
キャンセルポリシーは、予約をキャンセルする際のルールを飲食店で定められるもの。もし、キャンセルポリシーを定めていない場合は、ルールやキャンセル料を定めましょう。
キャンセルポリシーには、前日や当日のキャンセルにはどのくらいのキャンセル料が発生するか明記します。実際のキャンセル料を予約時に明示することで、キャンセルされにくくなるでしょう。
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飲食店の予約のキャンセルに対応策を打とう
飲食店で無断予約がキャンセルされる原因やキャンセル料の相場などを解説しました。キャンセルの対策には当日や前日のキャンセルによるキャンセル料を設定したり、電話やアプリでリマインドをしたりするのがおすすめです。キャンセルによる損失を防ぎたい飲食店経営者の方は、本記事をぜひ参考にしてみてください。