飲食店の帳簿について、帳簿を付ける目的や種類、書き方などをわかりやすく解説します。記事の後半では、飲食店で帳簿をつけるポイントもまとめました。これから飲食店経営を始める方や、帳簿の付け方に悩んでいる方は参考にしてみてください。
飲食店の帳簿とは?
飲食店の帳簿とは、飲食店事業を行う上で発生する「お金の流れ」や「取引」を記録した書類のこと。具体的には、売上げや仕入れ、在庫、売掛金、買掛金、現金の出納、従業員の給与などに関する事項を記入します。
帳簿を適切に記入、管理することで、飲食店の収支状況や在庫状況、債権債務の状況などを把握し、経営判断の資料として活用できるでしょう。
飲食店で帳簿を付ける目的
飲食店で帳簿を付ける目的は、主に以下の通りです。
- 売上やお金の流れを記録するため
- 飲食店の経営状態を把握するため
それぞれについて解説していきます。
売上やお金の流れを記録するため
1つ目の目的は、売上やお金の流れを記録することです。
帳簿には日々の売上や仕入れ費用、従業員の給与、光熱費など、飲食店で発生するさまざまな収入と支出を記録します。これにより、お金の流れを正確に把握できるようになるでしょう。また、金銭トラブルやお釣りの渡し間違いといったミスにも気付きやすくなります。
「いつ、何の目的で、いくら使ったのか」を把握するために、しっかりとした記録が欠かせません。
飲食店の経営状態を把握するため
2つ目の目的は、飲食店の経営状態を把握することです。
帳簿を適切に付けることで、売上高や原価率、人件費率などの経営指標を算出できるようになります。これらの数値を見れば、コストダウンや利益拡大のための戦略を立てやすくなるでしょう。
飲食店の帳簿の種類と書き方
ここからは、飲食店の帳簿の書き方について種類別に見ていきましょう。帳簿は記録する内容によって種類が細かく分かれますが、大きく「主要簿」と「補助簿」の2つに分類できます。
主要簿とは取引を記録する帳簿のことを指し、補助簿では主要簿に記載しきれない取引内容の詳細などを記載します。
主要簿
主要簿に分類される帳簿は以下の通りです。これらの主要簿は、「複式簿記」で作成します。複式簿記とは、お金の出入りを取引きであると捉え、あらゆる取引きを仕訳して記録する記帳方法のことです。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 日記帳
仕訳帳
仕訳帳は、毎日の取引を「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」に分けて、取引日順に記録します。
仕訳帳における具体的な記入項目は以下の通りです。
- 日付
- 勘定科目
- 金額
- 摘要
金銭または権利の増減を伴う取引が生じた際には、正確な情報をすべて仕訳帳に記載しましょう。
総勘定元帳
総勘定元帳では、仕訳帳に記載された内容を売上や仕入などの勘定科目別に記録します。勘定科目別に取引をまとめるので、勘定科目別の動きや残高を確認しやすいのがメリットです。
日記帳
日記帳とは、取引を日付順に記録した帳簿のことです。作成することで会計処理がより円滑に進みやすくなりますが、仕訳帳や総勘定元帳とは異なり、必ず作成しなければならないというわけではありません。
補助簿
補助簿とは、主要簿に記載しきれない取引内容の詳細を記入した帳簿のことです。決算書の作成は主要簿のみで可能ですが、補助簿を付けることで取引ごとの具体的な内容を把握しやすくなります。
補助元帳
補助元帳では、特定の勘定に関する明細を記録します。具体的には以下の通りです。
- 商品有高帳...商品別に数量や単価、金額、残高などを記入する
- 仕入先元帳...取引先ごとに買掛金残高を記入・管理する
- 経費帳...必要経費を記入する
- 固定資産台帳...減価償却資産や繰延資産の履歴を記入・管理する
補助記入帳
補助記入帳では、取引ごとに日付や詳細を記入します。具体的には以下の通りです。
- 現金出納帳...現金の入出金を記入する
- 預金出納帳...預金の入金と出金を記入する
- 小口現金出納帳...小口現金による取引の明細を記入する
- 仕入帳...取引の中で仕入れのみを記入する
- 売上帳...取引の中で売上のみを記入する
- 受取手形記入帳...受取手形の内容を記入する
- 支払手形記入帳...支払手形の内容を記入する
特に「現金出納帳」と「預金出納帳」は現金管理や預金管理に使用し、経営戦略を立てるための参考資料として活用される重要な帳簿です。
飲食店で帳簿をつけるポイント
ここからは、飲食店で帳簿を付けるポイントを紹介します。
- 使い勝手のよいテンプレートを選ぶ
- 業務支援システムを活用する
それぞれについて見ていきましょう。
使い勝手のよいテンプレートを選ぶ
帳簿にはさまざまな種類がありますが、できるだけ飲食店の業務に合ったテンプレートを選ぶことが重要です。自店舗にとって必要な様式がそろっているものを選びましょう。
また、記入方法についてのマニュアルを整備することで、管理しやすくなるのでおすすめです。
業務支援システムを活用する
業務支援システムを活用すれば、数値を入力するだけで帳簿付けや確定申告を簡単に行えます。簿記やエクセルなどの知識なしで簡単に操作できるので、コア業務に集中しやすくなるのもポイントです。
導入には初期費用や月額料金がかかりますが、業務支援システムによってはPOSレジとの連携機能があるものや、経営分析のサポートツール付きサービスもあります。さまざまなソフトを比較して、使いやすいものを選んでみてください。
飲食店で帳簿を付けるなら業務支援システムASPITがおすすめ
飲食店の帳簿付けにお悩みなら、業務支援システム『ASPIT』の導入がおすすめです。
『ASPIT』は外食に特化したシステムとして、あらゆる業態で柔軟に利用できるのがポイント。発注や売上管理はもちろんのこと、勤怠やシフト、調理工程表といった業務まで包括的に支援してくれるシステムです。
売上管理や損益管理、小口現金管理といった経理周りの業務を簡単に効率化できるため、人材不足に悩む方や業務を効率化したいオーナーにおすすめです。
飲食店の帳簿を正しく付けて管理しよう
飲食店の帳簿について解説しました。飲食店の経営状態を把握して適切に売上を記録するためにも、帳簿の管理は欠かせません。
本記事で紹介したポイントを参考に、飲食店の帳簿を正しく付けて、適切に管理するよう心がけてみてください。
経理業務に手が回らないという場合には、業務支援システムを活用することで効率的に業務を行えるため、利用するとよいでしょう。