飲食店のクレーム対応について、押さえるべき基本手順やよくあるクレーム内容、対応時のNG例などをわかりやすく解説。 クレーム対応では、ヒートアップする相手に対して冷静に対応することがカギとなります。飲食店のクレーム対応に悩んでいる方は、参考にしてみてください。
飲食店のクレーム対応が重要な理由
飲食店経営において、クレーム対応は重要。顧客満足度と店舗の評判に直接影響しやすく、不適切な対応をすればお店のイメージが大きく低下するリスクがあるためです。
また、SNSの普及に伴い、1つのクレームが広く拡散される可能性があることから、より適切な対応が求められるようになっています。
飲食店におけるクレーム対応の基本ステップ
まずは、飲食店におけるクレーム対応の基本ステップを解説します。状況によってイレギュラーな対応が求められる場合もありますが、ここでは一般的な流れを紹介するので参考にしてみてください。
押さえておきたい基本のステップは、以下の通りです。
- 不快にさせたことを謝罪する
- お客様の声・意見を聞く
- 相手の立場に立って謝罪する
- 改善・解決策を提示する
- 必要に応じて責任者と代わる
- 意見に対して感謝の意を表す
1. 不快にさせたことを謝罪する
まずは、「不快な気持ちにさせてしまったこと」に対して謝罪しましょう。クレームを入れる顧客の多くは感情的になっていることが多いため、店舗側のミスではない場合であっても相手の言い分を一度受け止めて、落ち着いて話をできる状況を作ります。
ただし事実確認の前にクレームの内容に対して謝罪してしまうと、揚げ足を取られる可能性もあるため注意しましょう。
「当店で責任を負います」といった発言はリスクなので避けるようにします。あくまで嫌な気持ちにさせてしまったことに対して、限定的に謝罪するのがポイントです。
また、実際に店舗側に非があった場合にも、迅速かつ真摯な対応をすることで大事にならずに済む場合があります。
2. お客様の声・意見を聞く
その後、顧客の意見に耳を傾けましょう。相手の言葉を反復して話を聞くことで、「しっかり話を受け止めてくれている」というイメージにつながります。
必要なことはメモを取るとよいでしょう。必要な情報をヒアリングして、事実確認を取る準備を進めます。ただし相手の話を遮ったり、指摘したりすることは避けましょう。
3. 相手の立場に立って謝罪する
相手の話を聴き終えて、店舗側に非がある場合は改めて謝罪します。事実確認が取れない場合には、引き続き不快な思いをさせたという事実に対してお詫びしましょう。
4. 改善・解決策を提示する
クレームの内容がわかったら、改善と解決のために迅速に対処します。例えば「料理に異物が入っていた」というクレームであれば、すぐに代わりの料理を手配しましょう。
過度な責任を負う必要はありませんが、顧客の気持ちや都合に寄り添って対応することが大切です。対応者自身が判断できない場合は、責任者へ指示を仰ぎましょう。
また、問題なく解決したクレームの場合も、責任者へ報告を入れるようにします。
5. 必要に応じて責任者と代わる
誠意をもって対応しても、顧客が感情的になってしまって怒りが収まらないこともあります。また、責任者を出すように言われることもあるでしょう。
そういった場合には、責任者に交代することで落ち着く場合があります。まずは相手に対して責任者を呼ぶことを伝えて、了承を得た上で交代しましょう。
6. 意見に対して感謝の意を表す
クレーム対応はとても大変な仕事ですが、顧客満足度の向上につながる貴重な機会でもあります。最後に改めて謝罪を伝えた上で、今後は再発防止策を取る旨とともに、貴重な意見に対して感謝も伝えるとよいでしょう。
飲食店でよくあるクレーム内容
以下では、飲食店でよくあるクレーム内容と対処のポイントを紹介します。
- 異物混入のクレーム
- 料理の味に関するクレーム
- 提供の遅延に対するクレーム
- スタッフの対応に関するクレーム
それぞれ見ていきましょう。
異物混入のクレーム
衛生管理を徹底していても、髪の毛や虫が入ってしまうことがあるかもしれません。異物混入のクレーム対応では、まずは謝罪を丁重に述べた上で、すぐに料理を交換します。
異物混入の原因を確認し、原因が判明した場合は再発防止策とあわせて伝えましょう。会計の際も改めて謝罪するようにします。
料理の味に関するクレーム
料理の味について意見をもらう機会もあるかもしれません。火が十分に通っていない、食材が傷んでいるといったような場合を除いて、料理の仕上がりに対するクレームはあくまで「貴重なご意見」として受け止めましょう。
味の感じ方や料理への評価は人によって異なるため、品質に問題ない場合は「貴重なご意見をいただきありがとうございます。今後の参考とさせていただきます。」と伝えれば問題ありません。
一方で、似たクレームが多発している場合、料理に改善の余地がある可能性があります。そのような場合には、必要に応じて調理方法を見直してみるのも1つです。
提供の遅延に対するクレーム
「料理が来ていない」というクレームには、まずは長時間お待たせしてしまったことを謝罪します。
その上で、キッチン担当者へオーダーが通っているか確認し、最優先で作ってもらうように指示しましょう。どの程度時間がかかりそうか確認し、お客様に対してあと何分程度で提供できるかを伝えます。
調理に時間がかかるメニューについてはオーダー時に伝えたり、メニューに書いておいたりすることでクレームを防げるかもしれません。
スタッフの対応に関するクレーム
「スタッフの対応が悪い」「不快な思いをした」といったクレームが入ることもあります。このようなケースでは、まずは不快にさせてしまったことに対して謝罪しましょう。また、スタッフの教育を今後徹底していくこともあわせて伝えるようにします。
一方で接客態度に関するクレームでは、必ずしもお客様だけが正しい意見を言っているとは限りません。
スタッフには改めてバックヤードで話を聞き、店舗側に非がないと思われる場合はフォローしましょう。また、実際に接客態度に問題が見られる場合は適切に指導します。
飲食店クレーム対応時のNG例
ここからは、飲食店クレーム対応時のNG例を紹介します。
- 対応をたらい回しにする
- 勘違いやミスを指摘する
- 必要以上に謝る
それぞれについて見ていきましょう。
対応をたらい回しにする
対応をたらい回しにしてしまうと、小さなクレームでも大事になりやすいため要注意。クレームを受けたら、まずはできるだけ早く解決するように尽力しましょう。自分の判断で対処が難しいと感じた場合は、責任者に指示を仰ぎます。
勘違いやミスを指摘する
クレームの中には、相手の認識が間違っている場合もあります。しかしクレームを入れるお客様はヒートアップしていることが多く、勘違いやミスを指摘することで相手の感情を逆なでしてしまうため避けましょう。
話を遮ったり、相手をわざと怒らせたりするような発言もNGです。
必要以上に謝る
クレーム対応では、必要以上に謝らないようにすることもポイント。クレームの詳細が不明瞭な段階では、全面的に非を認めてしまうのは危険です。
謝罪は必要ですが、詳細が発覚するまではあくまで「相手を不快にさせてしまったこと」に対してのお詫びであることを踏まえて対応しましょう。
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飲食店のクレーム対応は顧客意見を聞けるチャンスと捉えよう
飲食店のクレーム対応は大変な業務の1つですが、自店舗の運営に対する意見を直接聞ける貴重な機会でもあります。顧客の意見を反映させる貴重な機会だと捉えて、冷静に対応しましょう。
また、飲食店のクレームはいつ発生するかわからないもの。従業員が誰でも迅速に対応できるよう、対応マニュアルを作成しておくこともおすすめです。