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飲食店経営に関わる税金について理解する

飲食店を経営するにあたって、避けて通れないのが税金の問題です。しかし、複雑でややこし過ぎてどこから手をつけていいのか分からないオーナー様も多いのではないでしょうか。適切な確定申告と消費税申告を行い、必要な納税を行うことは法的義務であり、これらを怠ると罰金や遅延税が課されることもあります。 税金についての理解できていることで、先の見通しも立てやすくなり安心して経営にも集中できます。今回のコラムでは、飲食店経営者が知っておくべき税金の基本について説明してきます。

飲食店経営に関わる税金について理解する

1.税金の種類

飲食店を経営する際の税金は、経営形態が個人事業主であるか法人であるかにより、異なる種類の税金が対象となります。以下にそれぞれの経営形態における主な税金を簡単に説明します。

個人事業主の場合

個人事業主が飲食店を経営する場合、主な税金は所得税、住民税、個人事業税です。

(所得税)

一年間の収入から支出を引いた「所得」に対してかかる税金です。つまり、売り上げから仕入れ費や人件費などの経費を引いた金額があなたの年間所得となります。そしてその所得額に応じた税金を払う必要があります。

(住民税)

所住地域へ納める地方税です。所得に関する部分と固定部分の2部構成で計算されます。

(個人事業税)

事業所の所在地の都道府県に納める地方税です。都道府県ごとに異なる税率が適用されます。

法人の場合

法人として飲食店を経営する場合、主な税金は法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税となります。

(法人税)

法人が得た利益に基づき国に納める税金です。納税額は税率と課税所得の積で計算されます。

(地方法人税)

法人税の一部が地方公共団体に納められる税金です。法人税額の割合によって計算されます。

(法人住民税)

法人が所在地の都道府県及び市町村に納める税金です。所得金額や法人数によって計算され、基準税額と加算税で構成されます。

(法人事業税)

事業所の所在地の都道府県に納める地方税です。課税所得の金額や業種に応じて法定納付率が適用されます。

個人・法人に共通

個人事業主でも法人でも支払う必要のある主な税金は、消費税、固定資産税、印紙税、源泉所得税と特別徴収住民税です。

(消費税)

サービスの提供や商品の販売にかかる税金で、申告制度に基づき自己申告します。具体的には、一定期間に受け取った消費税から同期間に支払った消費税を引いたものを納めます。

(固定資産税)

地方公共団体に対して支払う、不動産(土地や建物など)に対する税金です。

(印紙税)

印紙税は、一定の金額以上の契約書や領収書などの文書に、取引を公的に証明するために貼り付ける印紙代に相当する国税です。売上伝票や領収書など、法律で定められた一定の文書に印紙を貼ることで、公的にその取引が認められるようになります。

(源泉所得税と特別徴収住民税)

これらは、従業員に給与を支払う場合に発生する税金です。雇い主が給与から源泉所得税を自動的に引いて、国税局に納付します。これを「源泉徴収」と呼びます。

特別徴収住民税も同様に、給与から住民税を自動的に引いて、市町村に納付します。特別徴収制度があることで、従業員は税金を自分で納税する手間を省くことができます。

これらの税金を適切に納付するためには、適切な給与計算と記録、給与支払いの管理が必要です。また、正確な金額を計算して正確に納税するためには、各税金の計算方法と納税の手続きについて理解することが重要です。

2.納税のタイミング

それぞれの税金には特定の計算・申告のタイミングが定められています。法人、個人事業主ともに確定申告を行う期間は、その会計年度の終了から3ヶ月の間と定められています。以下に詳しく説明します。

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(所得税・法人税)

収益および支出の計算は、年度末(通常は1231)に行われ、その後の確定申告期間(通常は翌年216日から315日)に申告を行います。ただし、会計年度が変則的(1月以外から始まる)である場合は、その年度末から3ヶ月後までが申告期間となります。

(消費税)

消費税については、申告納税制度が採られており、通常は年1回の確定申告が必要です。期間は所得税・法人税と同様に年度末の次の日から3ヶ月間となっています。ただし、法人税法上の中小企業(資本金1億円以下)や個人事業主などは、ミニワンストップ特例制度を利用して、所得税と一緒に申告することも可能です。

なお、各種税金の申告期間は、災害等特例措置法の適用で延長されることがあります。具体的な日程については、国税庁のウェブサイトや各都道府県市町村の公式ウェブサイトを確認してください。

参照:国税庁サイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm

また、申告と納税については税理士や公認会計士などの専門家に依頼することも一般的であり、専門家に任せることで手続きを正確でスムーズに行うことが可能となります。

重要なことは、それぞれの税金の申告・納付の期限を逃さないことです。期限を逃すと遅延税を課されることがあり、さらに長期間納税を怠ると、税務署から強制課税処分を受ける可能性もあります。そのため、税金計算と申告・納付は事業運営において重要な業務となります。

(源泉所得税、特別徴収所得税)

源泉所得税と特別徴収所得税は、原則として給与を支払った翌月の10日までに納付する必要があります。

例えば、ある月の給与を支払ったら、その翌月の10日までにその月に徴収された源泉所得税と特別徴収住民税を納付します。具体的には、例えば4月の給与を5月に支払い、源泉所得税と特別徴収所得税を徴収した場合、その税金は610日までに納付する必要があります。

以下に少し詳しく説明します。

・給与の支払いと源泉所得税の徴収

計算した源泉所得税を給与から引いた金額を、従業員に支払います。これにより、源泉所得税は徴収されます。

・源泉所得税の納付

源泉徴収した所得税を、税務署に納付します。これは、毎月締め日から翌月の10日までに行います。納付方法は、郵送、窓口での納付やインターネットを使ったe-Taxでの納付などがあります。

・給与所得の源泉徴収票の交付と保存

源泉徴収した給与所得について、従業員に対し給与所得の源泉徴収票を交付します。これは通常、翌年の1月末までに行います。源泉徴収票は従業員が確定申告を行う際に必要となるため、確実に交付することが求められます。さらに、店側も源泉徴収票の控えを保存し、いつでも提示できるようにしておく必要があります。

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3.飲食店経営と税金

飲食店経営と税金の問題は密接に関連しており、避けて通れない課題と言えます。各種税金の理解と適切な管理は、経営者としての信用だけでなく、事業の持続性にも直結するため、極めて重要です。

税理士や専門家に任せるのも大切な手段ですが、それだけでなく経営者自身が税務について理解することは非常に重要です。税金は経営に直結する大切な要素であり、その理解は事業活動を効果的に進め、また不必要なリスクを避けるための判断材料にもなります。

経営者としての視点で税務にアプローチすることで、税金の計算や納税の流れ、更には税制度の変更に対して素早く適応でき、経営判断の幅を広げることができるでしょう。また、税理士や専門家とのコミュニケーションも円滑に行え、より具体的な対策やアドバイスを求めることが可能になります。

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