飲食店の助成金活用ガイド|賃上げ・設備投資と2027年度に向けた準備
来年、令和9年度においては、主要な助成金の大幅な増額が概算要求からも見受けられます。 少し早いですが、令和8年度を振り返り、令和9年度の助成金を確実に獲得するための対策をまとめます。 人件費や食材費が上がるなか、賃上げと業務効率化を両立するには、店舗の課題に合った投資が必要です。 助成金も活用しながら、今年度の実績を来年度の改善計画につなげましょう。
目次
飲食店の助成金活用は、店舗の課題整理から
まず、作業時間や勤務状況、設備投資の効果を店舗ごとに振り返ります。そのうえで、改善したい業務と賃上げ・研修の計画を具体化することが大切です。
【令和8年度の申請期限】業務改善助成金は地域別最低賃金の発効日前日と2026年11月30日の早い日まで。働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)は11月30日(月)午後5時までです。予算による早期終了もあるため、管轄の労働局で最新情報を確認してください。
1. 発注・仕込み・棚卸・売上集計の作業時間を確認
次の数字や状況を、申請の有無にかかわらず確認しておきましょう。
- 発注・仕込み・棚卸・売上集計にかかる時間
- 残業の偏りと休暇の取りやすさ
- 導入した設備や仕組みによる作業時間の変化
例えば棚卸や閉店後の集計にかかる人数と時間を記録すると、次に改善すべき業務が見えてきます。
2. 業務改善助成金|飲食店の賃上げと設備投資を支援
令和8年度は、事業場内最低賃金を50円以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資等を行う中小企業などが対象です。助成率は4分の3または5分の4で、申請は事業場ごとに行います。
上限額は賃上げ額、対象人数、事業場の規模で変わります。通常は最大450万円、特例事業者が90円コースで10人以上を引き上げる場合は最大600万円です。特例には事業場内最低賃金1,050円未満などの要件があります。
POSレジによる在庫管理時間の短縮などが設備投資の例です。導入する機器だけでなく、削減したい作業時間も計画に記しましょう。個別の設備が対象になるかは申請年度の要領で確認します。
3. 働き方改革推進支援助成金|労働時間の短縮と休暇取得を促進
令和8年度の労働時間短縮・年休促進支援コースでは、労務管理ソフトの導入や研修、就業規則の整備などが対象事業の例です。時間外労働や年次有給休暇に関する成果目標を選び、達成を目指します。
店舗では、シフト作成、勤怠確認、閉店後の作業を見直し、残業や休暇取得を妨げる原因を具体化します。
4. 人材開発支援助成金|新人教育・店長候補の育成に活用
新人教育や店長候補の育成には、人材開発支援助成金も検討できます。令和9年度の関連要求額は、令和8年度当初予算539億円に対して602億円です。要求段階のため、支給条件は未確定です。
「発注精度を高める」「食品ロスを減らす」など、研修で身に付ける力を明確にしましょう。
5. 2027年度の助成金はどうなる?概算要求と今からできる準備
業務改善助成金の要求額は令和8年度当初予算21億円から543億円へ増えました。一部コースの上限額や申請期間の見直しも示されています。来年度の制度が確定するまで、店舗ごとの賃金と改善課題を整理しておきましょう。

主な助成金の予算・概算要求の比較(億円)
※令和9年度の金額・制度内容は概算要求段階であり、確定していません。 出典:厚生労働省「令和9年度概算要求の概要」ほか
6. 食品の消費税率変更に備える|POS・在庫管理・会計連携の確認
政府は、対象となる飲食料品の税率を2027年4月から2年間、1%に引き下げる方針を大綱で示しました(2026年9月15日)。法案提出前のため、制度が決まるまでは設定を変えず、必要な改修を洗い出します。

飲食料品の税率推移(大綱に基づく想定)
仕入食材や持ち帰り・宅配、店内飲食では税率が異なり得ます。商品マスタ、発注・仕入、POS、請求書、会計連携で1%・8%・10%の扱いを確認し、適用開始日や過去伝票を含めてテストする計画を立てましょう。
税率変更だけの改修が助成対象になるとは限りません。一方、POSと在庫管理の連携など、生産性向上を伴う投資なら、業務改善助成金やIT導入支援策を検討する余地があります。対象経費は正式な公募要領で確認してください。
見積もりは、税率対応に必要な改修と業務改善の追加機能を分けて取得しましょう。同じ経費の重複申請にも注意が必要です。
7. 飲食店が助成金を申請する前に確認したいポイント
店舗ごとの課題を絞り、次の順序で進めます。
- 振り返る:賃金、勤務時間、作業時間、投資効果を確認する
- 計画する:改善する業務、設備投資、賃上げ、研修を決める
- 申請する:最新要件と期限、交付決定までの手順を確認する
制度によっては交付決定前の契約・購入が対象外になります。着手前に手順を確認し、実施後も作業時間などの変化を記録しましょう。
今年度の結果を次年度の計画へつなげることが、働きやすさと収益力の改善に役立ちます。
※2026年9月時点の公表情報に基づきます。令和9年度の制度と食品の税率引下げは未確定です。申請前に各制度の最新資料をご確認ください。
出典:厚生労働省(令和8年度各助成金・令和9年度概算要求)、中小企業庁、内閣官房(2026年9月15日大綱)
