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飲食店を救う「粗利」の質を上げる実践戦略:手元に残る現金を最大化する具体策

経営分析 粗利

飲食店経営において、売上以上に注目すべき指標が「粗利(売上総利益)」です。原材料費の高騰が続く今、ただ売上を追うだけでは利益が残りません。 本記事では、「粗利の質」を向上させてキャッシュフローを改善する具体的な方法を解説します。

飲食店経営の命綱「粗利」の基本と重要性

まず、改めて基本の計算式を確認しておきましょう。

  • 粗利(売上総利益) = 売上高 - 売上原価
  • 粗利率 = 粗利 ÷ 売上高 × 100

飲食店における粗利率の目安は、一般的に70%程度(原価率30%程度)が一般的ですが、業態により65%~75%の幅があります。ただし、重要なのは「他店との比較」ではなく、「自店の利益が固定費(人件費・家賃等)を上回り、現金を残せているか」です。

【新視点】粗利を「分析」して「質」を変える3つの切り口

単に「全体の粗利」を見るのではなく、以下の3つの視点で分解することで、改善点が見えてきます。

① 「看板メニュー」と「高粗利メニュー」の役割分担

すべてのメニューで高い粗利を狙う必要はありません。

  • 集客メニュー(低粗利): 原価をかけてでもお客様を呼ぶ目玉商品。
  • 収益メニュー(高粗利): サイドメニューやドリンクなど、利益を支える商品。 この2つを組み合わせて、「トータルでの粗利率(理論原価)」をコントロールするのがプロの戦略です。

② ポーション管理と「歩留まり」の再確認

「計算上の原価」と「実際の原価」がズレる最大の要因は、「現場のオペレーション(提供量・廃棄管理)にあります。

  • 1人前の分量(ポーション)がスタッフによってバラバラではないか。
  • 食材の「歩留まり(可食部)」を正確に把握しているか。 端材をスープや賄いに活用するなど、捨てていた部分を粗利に変える工夫が求められます。

③ ABC分析によるメニューの「断捨離」

売れているけれど利益が低い商品、逆に全く売れていない商品は、メニュー全体の粗利率を下げます。

  • Aランク(売上高・粗利ともに高い): 絶対に残すべき主力。
  • Cランク(売上高・粗利ともに低い): 即座にメニューから外すか、内容を刷新すべき。

粗利を守り抜くための3つのアクション

原材料費が上がっても粗利を削らないために、今すぐ取り組むべき対策です。

  1. 「価値」に基づく価格改定
    • 単なる「値上げ」ではなく、盛り付けやストーリー性を付加して「価値」を上げ、粗利を確保した新価格を設定します。
  2. ドリンク・サイドメニューの強化
    • ドリンク・サイドメニューは一般的に高粗利商品とされており、提案強化で全体粗利を底上げできます。最初の1杯だけでなく、2杯目、3杯目を促す「おつまみ」の提案で全体の粗利を底上げします。
  3. 仕入れルートの定期的な見直し
    • 卸業者との価格交渉や、旬の安い食材への切り替えを柔軟に行い、売上原価そのものを抑えます。

データ経営で「隠れた赤字」を可視化する

勘に頼った経営では、気づかないうちに粗利が侵食されます。店舗管理システム(ASPIT等)を導入することで、以下のような「データに基づく経営」が可能になります。

解決できる課題システムによる効果
理論原価と実際原価のズレ在庫管理と連携し、どこでロス(廃棄や過剰提供)が出ているか特定できる。
メニュー改定の判断ミスどの商品が最も利益に貢献しているか、客層ごとの粗利貢献度がわかる。
FLコストのリアルタイム把握粗利から人件費を引いた「残る利益」を毎日自動で算出できる。

ポイント: 毎日電卓を叩く時間を「どうすれば粗利が増えるか」という戦略を練る時間に変えることが、繁盛店への近道です。

まとめ:粗利の改善は「現場」と「数値」の両輪で

飲食店の粗利を改善するには、現場での丁寧なオペレーション(ロス削減)と、データに基づく冷静な分析が不可欠です。

まずは自社のメニュー表を開き、「最も利益に貢献している商品はどれか?」「隠れた赤字メニューはないか?」を計算することから始めてみましょう。

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