飲食店で最近話題の「マイクロニッチ」とは?
最近、飲食業界で「マイクロニッチ」という言葉を耳にする機会が増えていませんか? 「マス」から「ニッチ」へ、年代や嗜好を絞り込んでコアなファンを獲得する戦略は、飲食店経営においてすでに定着しつつあります。しかし、市場規模の縮小が懸念される今の時代、ターゲットをさらに細分化し、“熱狂的なファン”を作る「マイクロニッチ」な業態が新たな生存戦略として注目を集めています。 本コラムでは、そもそも「マイクロニッチ」とは何かという基本概念から、ニッチな料理とお酒の掛け合わせなど現在増えつつある店舗の傾向、そして「わざわざ足を運ぶ価値」を生み出す今後の可能性までを詳しく解説します。
目次
そもそも「ニッチ」とは何か?飲食店における意味と基本戦略
ターゲットを限定し、コアなファンとリピート率を獲得する
「ニッチ」とは隙間やくぼみを意味する言葉です。
住宅や店舗デザインでニッチというと壁の一部をへこませて小さな棚にした部分をそう呼びますが、飲食店におけるニッチはターゲットや市場、業態を指すことが多い言葉です。
飲食店においては前述の(ターゲット、市場、業態)どの言葉に「ニッチ」をくっつけてもほとんど同じ意味、同じ戦略になります。
反対語である「マス」や「メジャー」においては老若男女幅広い人をターゲットにしていますが、ニッチにおいては年代や性別、職種や嗜好などをある程度限定したターゲットの設定にして、コアなファンを作ろうという戦略になります。
経営的に考えるとリピート率を大事にする戦略と考えることもできますね。
今の時代らしい思想であると解釈できます。
「マイクロニッチ」とは?熱狂的なファンを作る新たな生存戦略
日本に一つしかないお店を目指す「深化」の形
まだできて間もない「マイクロニッチ」ですが、その言葉の印象通りニッチを更に細かく設定するものと言えます。
いわば日本に一つか二つしかないお店を目指すということになるわけです。
細かくなればなるほど更にターゲットを狭めていくわけですから、コアなファン作りから更に熱狂のファン作りへ深化していくものと考えなければなりません。
加えて、よりリピート率の高さが大事な業態を考慮しなければならなければならないとも考えられます。
マイクロニッチ飲食店の現状と傾向(成功事例)
まだ数は多くないマイクロニッチと呼ばれる業態ですが、現状および今後の展開の予想も含めて特徴づけできる部分があります。
ニッチな料理とニッチなお酒
現状、マイクロニッチと呼ばれるお店はお酒を伴う夜の業態が多いのが特徴です。
例えば、ジビエとクラフトビールや点心と自然派ワイン、ガチ中華と自然派ワインなど酒類においてはクラフト系のものを中心に据えることでトレンドも含まれているという絶妙な狙いになっています。
ニッチを二つ組み合わせることでマイクロニッチを表現しているということですね。
賞味期限が数十分のスウィーツ店
賞味期限を非常に短く設定することで、そのお店で作りたてを食べるしかないという状況を作り出しています。この手法を取り入れたお店が都市部で少しずつ増えていますよね。
今後ムーブメントになる?将来性のあるマイクロニッチ業態
とあるあまり知られていない作家のファンだけを集める店
作品や人など上記の作家の部分はいろんなものに変わることでしょう。
そのようなお店は今でも少数あると思いますが、マイクロニッチというカテゴリーができることにより、個体数が増えていく可能性が出てきます。
一つのニッチな料理だけで勝負する店
これもすでにありますが、言葉ができることでムーブメントができ、店舗数が増える可能性があります。
などなど将来的にはマイクロニッチという言葉の浸透次第で消費者の支持を得られる様々な可能性が生まれてきます。
マイクロニッチがもたらす今後の可能性と集客力
地方出店でも「わざわざ足を運ぶ価値」を生み出せる
ニッチ業態の特徴の一つとして、東京や大阪などの人口の多い都市で出店されることが多いことが挙げられます。
ターゲットを絞るわけですから、周辺人口のほんの一部の人に強力に支持されなければならないということを思想とすると、母数が多くなければ成り立たないということにもなっているということです。
マイクロニッチのお店は日本に一つか二つしかないお店を目指すので、大都市に限らず出店が増える可能性があります。
ミシュランの三ツ星のお店は、「そのために旅行する価値がある卓越した料理」という基準で国内に20店舗あります。
日本に一つしかない(できればマネがしづらい)お店を目指すわけですので、産みの苦しみは大変なものになることは間違いありませんが、マイクロニッチのお店は「そのために旅行する価値がある他にないコンセプトのお店」として国内外から集客できる、そんな新たなムーブメントになる可能性を秘めています。
市場規模が縮小していく時代にあることは間違いありませんので、消費者ニーズを徹底して深堀するマーケットインの思想に加えて発信型のプロダクトアウトも考慮すべき時期が近づいていると考えて良いのかもしれません。
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筆者紹介 酒村 洋行(株式会社アスピット) 都内のフレンチやイタリアンレストランにて、サービススタッフおよびソムリエとして豊富な経験を積む。 その後、大手酒類メーカーに活躍の場を移し、飲食店向けコンサルティング部門にてコンサルタントとして従事。 飲食店の代表取締役を経験した後、2020年3月より株式会社アスピットにて現職。現場と経営、双方の視点から外食産業の課題解決に取り組んでいる。 |



